PDRNスキンケアガイド · 吸収

PDRNクリームは肌に吸収される?

「低分子だから深く吸収される」という説明は、どこまで正しいのでしょうか。肌のバリアのつくりと、PDRNが実際にどれくらい大きいのかを根拠となる資料で確かめ、塗ったPDRNがどこにとどまるのかを図にしました。

結論から言うと

健康な肌のいちばん外側にある角層は、分子量が500ダルトン(Da)を超える物質をあまり通しません。PYDERINが使うPDRN原料は、試験成績書によると平均150bp。重さに換算すると約97kDa(9万7000ダルトン)で、500ダルトンという目安の約194倍にあたります。

そのため、塗ったPDRNの大部分は、肌の表面と角層の上のほうにとどまると考えるのが妥当です。

アイボリー色のクリームにREJUVUSTERのロゴが刻印された、REJUVUSTER PDRN リジュビネイティング クリーム
REJUVUSTER PDRN リジュビネイティング クリームのテクスチャー。指先から消えたクリームの中のPDRNは、どこへ行ったのでしょうか。

「なじんだ」と「吸収された」は違います

クリームを塗って1~2分たつと、表面のテカリが落ち着き、指先のすべるような感触もなくなります。これを「吸収が早い」と言うことがよくありますが、このとき実際に起きているのは、多くの場合、製品に含まれる水分が蒸発し、残った成分が肌の上に薄く広がることです。指先で感じる「なじんだ感じ」と、成分が角層を通り抜けて下へ進む「透過」は、別のことです。

「低分子だから深く吸収される」という説明を見極めるときも、この区別が出発点になります。何がどれだけ入っていくかは、肌の構造と分子の大きさに左右されます。

角層はれんが塀のように積み重なっています

肌のいちばん外側にある角層の厚さは10~20㎛ほどで、コピー用紙1枚(約0.1㎜)の厚さの10分の1から5分の1程度です。薄いながらも、つくりは緻密です。平たく固まった角層細胞が何層にも積み重なり、そのすき間をセラミド・コレステロール・脂肪酸からなる脂質が埋めています。よく角層細胞をれんがに、脂質をそのすき間を埋めるセメントにたとえますが、水分が逃げないようにするバリアの役割は、主にこの脂質が担っています1。

外から来た物質がこの層を通り抜ける経路は、大きく3つあります。角層細胞のあいだの脂質に沿って曲がりくねって進む経路、細胞を横切ってまっすぐ下りる経路、そして毛包を伝って入る経路です。ほとんどの成分は1つ目の経路を通ります1。この経路は幅がナノメートル単位と狭く、油の性質を帯びているため、小さくて水にも油にもある程度溶ける分子は通りやすい一方、大きな分子や強い電荷を帯びた分子は通りにくいのです。

角層を通る3つの経路 肌の断面図。れんがのように積み重なった角層細胞のあいだの脂質を通る経路(1)、細胞を横切る経路(2)、毛包の入り口から入る経路(3)が矢印で示されている。肌の表面には、小さな分子を表す点と、それよりはるかに大きいPDRNの断片を表す棒が置かれている。 1 2 3 角層 表皮 真皮 毛包
図1 角層を通る3つの経路。①角層細胞のあいだの脂質に沿って進む経路は、ほとんどの成分が通るルートです。②細胞を横切る経路は、細胞と脂質の層を交互に通らなければならないため、大きな分子ほど通りにくくなります。③毛包の入り口は、面積こそ小さいものの、塗った物質の一部が集まってとどまることのある空間です。点は小さな分子、棒はPDRNの断片を表し、大きさの比率は実際とは異なります。

500ダルトンという経験則

2000年、オランダの皮膚科研究者ボス(Bos)とメイナルディ(Meinardi)は、ある共通点に注目しました。肌に触れてアレルギーを起こす物質も、肌に塗って使う薬も、肌に貼るパッチで届ける薬も、ほぼ例外なく分子量500ダルトン未満だという点です。2人はこれを「500ダルトンルール」と名づけました2。

「ルール」と呼ばれてはいますが、実際には観察から生まれた経験則です。500ダルトン前後では、成分の性質や剤形によって結果が分かれ、肌の状態によっても変わります。それでも、分子が大きくなるほど健康な肌を通り抜けるのが急激に難しくなるという大きな傾向は、皮膚科学の常識とされています。薬学でも、大きな分子を皮膚を通して届けるには、角層のバリアを越えるための別の技術が必要だと考えられています3。

化粧品でよく使う成分の分子量(対数目盛)

  • 水18Da
  • ナイアシンアミド122Da
  • ビタミンC176Da
  • パンテノール205Da
  • アデノシン267Da
  • 500Daの目安500Da
  • セラミドNP約584Da
  • アセチルヘキサペプチド-8約889Da
  • PDRN 平均150bp約97,000Da
  • コラーゲン分子約300,000Da

対数目盛なので棒の長さの差は小さく見えますが、実際の大きさの差ははるかに大きくなります。同じ比率で描くと、下のようになります。

  • 500Daの目安500Da
  • PDRN 平均約194倍
図2 分子量の比較。一般的な成分は化学式から計算した値です。PDRNは、原料の試験成績書にある平均サイズ150bpを、1塩基対あたり約650ダルトンとして換算しました。500ダルトンを少し超えるペプチドやセラミドと比べても、PDRNは桁からして違います。

97kDaを図にしてみると

PDRNは長さがまちまちなDNA断片が混ざっているため、分子1つの重さを言い切ることができず、平均で表します。PYDERINが使う原料の試験成績書に記載された平均サイズは、150bp(塩基対)です。二重らせんのDNAは1塩基対あたり約650~660ダルトンなので、150bpなら約97~99kDaになります。PYDERIN製品の97kDaは、1塩基対あたり650ダルトンで計算した97.5kDaの小数点以下を切り捨てた値です4。

形で表すと、直径約2㎚、長さ約50㎚の細い棒です。DNAの二重らせんは、1塩基対ごとに0.34㎚ずつ長くなるためです。この程度の長さのDNAは曲がりにくい棒に近く、骨格をつくるリン酸基のために強いマイナスの電荷を帯びており、水にとてもなじみやすい性質をもっています。先ほど見た、角層を通りやすい分子の条件とは、ほぼ正反対です。

では、「低分子PDRN」という言葉は正しいのでしょうか。それは基準しだいです。研究文献では、PDRNは一般に分子量50~1,500kDaのDNA断片の混合物と説明され、50kDa未満を別に低分子PDRNとする分類もあります5。この分類でいえば、平均97kDaは一般的なPDRNの範囲の中で小さいほうです。どの基準で見ても、肌のバリアのしきい値である500ダルトンと比べれば、非常に大きな分子です。「低分子」という言葉を見かけたら、まず何と比べて小さいという意味なのかを確かめてみてください。

塗ったPDRNがとどまる場所

ここまでの根拠をまとめると、塗ったPDRNの大部分は、肌の表面と角層の上のほうに残ると考えるのが妥当です。DNAは水になじみやすい大きな分子なので、油の性質を帯びた脂質のあいだの狭い経路には入り込みにくいからです。

毛包の入り口はどうか

肌に塗った色素や微粒子が毛包の入り口(毛穴)に集まり、しばらくとどまるという研究があり6、毛包がもっとも密集している額では、そうした空間も広めです7。ただし、PDRNが同じように毛包の入り口にとどまるかどうかを人の肌で確かめた研究は、見つかりませんでした。

塗り方で気をつけたいこと

分子の大きさが出発点だとすれば、結果を左右する要素はほかにもあります。肌を通り抜ける量は肌の内と外の濃度差に比例し、同じ成分でも、どんな剤形に配合されているか、肌がどれだけうるおっているかによって変わります8。次のポイントは、塗った成分が肌の上に均一に、長くとどまるようにするための方法です。PDRNを肌の中に押し込む方法ではありません。

洗顔直後や化粧水をつけたあとなど、肌がしっとりしているときに塗ると、製品が均一に広がります。最後にクリームでふたをすると水分が蒸発しにくくなり、肌のうるおいを長く保つのに役立ちます。肌を覆っておくと成分の透過が増えることが多いという研究もありますが9、そのほとんどは小さな分子を扱った結果なので、PDRNのような大きな分子にそのまま当てはめるのは難しいでしょう。

角質ケア製品を使う日と、新しい製品を初めて使う日は重ならないようにしましょう。角質を取り除いた日は、初めて使う製品でもピリピリしやすくなります。傷のある部分には化粧品を使わないでください。皮膚の病気で受診している方は、化粧品の使用について、まず担当の医師に相談してください。

PYDERINがサイズと純度を公開する理由

PYDERINが97kDaと純度99%という数字を公開しているのは、試験成績書と照らし合わせて確かめられるからです。PDRN原料は供給元によってサイズの分布や精製の度合いが異なることがあるため、平均サイズと純度が書かれていれば、どんな原料を使ったのかを比べる基準になります。PYDERINの原料の試験成績書には、平均サイズ150bp、DNA純度99%、タンパク質の混入を見積もるA260/A280比1.78、重金属4種の不検出が記録されています。製品情報に記載している97kDaはこのロットの測定値を重さに換算した代表値で、原料の規格は平均30~200kDaです。こうした見慣れない数字がそれぞれ何を測っているのかは、PDRNラベルの数字の読み方でひとつずつ解説しています。

クリームの使用感や保湿力は、PDRNと一緒に配合された成分に大きく左右されます。たとえばREJUVUSTER PDRN リジュビネイティング クリームの全成分には、パンテノール、セラミドNP、スクワランといった保湿成分も入っています。それぞれの成分がどんな役割を担うのかは、PDRNと一緒に使う成分で続けて紹介します。

よくある質問

PDRNクリームを塗ると、真皮まで届きますか?

そう言える根拠はありません。平均97kDaのPDRNが健康な肌の角層を通り抜けて真皮に届くことを、人の肌で確かめた研究は見つかりませんでした。

低分子PDRNは、高分子PDRNより吸収されやすいですか?

低分子PDRNも、ほとんどは500ダルトンよりはるかに大きいため、低分子だからというだけで肌の中まで入るとは考えにくいです。PDRN同士を比べるとき、平均サイズは原料の性格を示す情報にすぎず、サイズだけで製品の使用感や効果が決まるわけではありません。

深く吸収されないなら、PDRNクリームを使う意味はあるのですか?

化粧品に使われるPDRN、つまりSodium DNA(日本の化粧品の表示名称はDNA-Na)は、大韓化粧品協会(KCIA)の成分辞典で、配合目的が「皮膚コンディショニング剤」として掲載されています10。PYDERINのクリームでは、パンテノールやスクワランなどの保湿成分とともに、肌の表面と角層を整えるために使われています。シワ改善や美白といった効能は、韓国では「機能性化粧品」として審査・報告を経た製品だけが、その範囲内で表示できます。

PDRNクリームは、いつ塗るのがよいですか?

洗顔後、化粧水や美容液まで済ませたら、肌がまだしっとりしているうちに、クリームのステップで使いましょう。朝は最後に日焼け止めを重ねてください。傷のある部分は避けてください。

参考文献

肌のバリアと分子の大きさ、成分の定義に関する資料です。PYDERINの製品そのものを試験した研究ではありません。

  1. Elias PM. Epidermal lipids, barrier function, and desquamation. J Invest Dermatol. 1983;80(1 Suppl):44s–49s. doi:10.1038/jid.1983.12
  2. Bos JD, Meinardi MM. The 500 Dalton rule for the skin penetration of chemical compounds and drugs. Exp Dermatol. 2000;9(3):165–169. doi:10.1034/j.1600-0625.2000.009003165.x
  3. Prausnitz MR, Langer R. Transdermal drug delivery. Nat Biotechnol. 2008;26(11):1261–1268. doi:10.1038/nbt.1504
  4. QIAGEN. Working with DNA: good laboratory practice. 二本鎖DNAの分子量の計算方法(1塩基対あたり662ダルトン、ナトリウム塩の場合)。 qiagen.com
  5. Marques C, Porcello A, Cerrano M, et al. From polydeoxyribonucleotides (PDRNs) to polynucleotides (PNs): bridging the gap between scientific definitions, molecular insights, and clinical applications of multifunctional biomolecules. Biomolecules. 2025;15(1):148. doi:10.3390/biom15010148
  6. Lademann J, Knorr F, Richter H, et al. Hair follicles – an efficient storage and penetration pathway for topically applied substances. Skin Pharmacol Physiol. 2008;21(3):150–155. doi:10.1159/000131079
  7. Otberg N, Richter H, Schaefer H, et al. Variations of hair follicle size and distribution in different body sites. J Invest Dermatol. 2004;122(1):14–19. doi:10.1046/j.0022-202X.2003.22110.x
  8. Scheuplein RJ, Blank IH. Permeability of the skin. Physiol Rev. 1971;51(4):702–747. doi:10.1152/physrev.1971.51.4.702
  9. Zhai H, Maibach HI. Effects of skin occlusion on percutaneous absorption: an overview. Skin Pharmacol Appl Skin Physiol. 2001;14(1):1–10. doi:10.1159/000056328
  10. 大韓化粧品協会(KCIA)화장품 성분사전(化粧品成分辞典)。소듐디엔에이(Sodium DNA):起源および定義「DNAのナトリウム塩」、配合目的「皮膚コンディショニング剤」。 kcia.or.kr

この記事は、化粧品を選んで使う際の参考になるようにまとめた一般的な情報であり、病気の診断や治療に代わるものではありません。肌に異常がある場合は、皮膚科専門医にご相談ください。